2011年8月3日水曜日

「心の強さ」VS「気の強さ」(笑)

先日のブログ記事(「心の強さ」)について、一人の生徒からこんなことを言われました。

「そうですよね、気の強さって絶対大事ですよね。ドクターだって患者さんのいうことをだまって聞くだけでなくて、ずばずば本当のことを言っていいんですよね。それでないとチーム医療なんてできないですよね」

思わずその生徒の顔を見てしまいました(笑)。

彼女は「心の強さ」と「気の強さ」を混同しているようです。

私が書いた「心の強さ」は、もちろん部分的には「気の強さ」と重なる面もありますが、両者は本来根本的に別のものです。いや、むしろ別のものでなくてはいけません。

健康な人間が相手ならば、気の強さも健全なコミュニケーションには必要なことがあります。ですがドクターが相手にする方は、「病人」です。病気を持っている、病を得ている方は「負のエネルギー」をドクターに向けてきます。

これは当然のことなのであって、病人が健常人の真似をしても何にもなりません。患者さんにとって病院とは「安心して負のエネルギーを発散できる場所」であるべきです。

医療従事者は、ドクターに限らずその患者さんがぶつけてくる負のエネルギーに負けないようにしなければなりません。ここでいう「負けない」は、決して「言い返す」ことではないのです(笑)。

素直に相手の話を聞き、それを十分に受け入れながら、患者さんが本当に「寄り添って」もらいたい方向に寄り添うことこそが、医療従事者に求められていることの基本だと思います。

もちろんその過程で「気の強さ」が求められることがあるにせよ、レアケースを一般化はできません。

本当の意味での「心の強さ」は、相手をそのまま受け入れることのできる「心の広さ」に通じ、受け入れた時点から今度は「回復・寛解」に向けて一緒に歩むことのできる人間的な「底力」にも通じるものなのです。

冒頭の彼女にはこのことを説明し、納得してもらいました(笑)。