入試期間真っ最中です。今週末で医学部入試が一段落し、平行して獣医学部入試が目白押しになります。
医進の授業はSSを中心にずっと行われています。今日は午前中に「数学SS」が組まれており、先生方が待機することになります。過去問の演習を中心に、質問の内容によって集団(といっても生徒は数名を対象にするものですが)の授業に切り替えます。
「個別質問対応⇒範囲を限定しての授業⇒課題を指定して演習⇒再度個別質問対応」が、この時期は特に効率が良いようで、生徒もみな喜んでいるようです。
先週土曜日28日の午後、ある生徒と何気ない話を教室でしました。
Aさん「来週第一志望の試験です。困ってます」
外山「何を困っているの?」
Aさん「試験直前に、何をやったらよいのかわからないんです。難しい問題をやって自信をなくすのはいやだし、かといって易しい問題ばかりやったのでは自信がつかないし・・・」
外山「いままでやってきたことを復習するということだけでいいんじゃないのかな」
Aさん「一度やった問題が解けても、うれしくないんです。」
外山「うれしくない・・・」
Aさん「はい、それってできてあたりまえじゃないですか、一度やってあるんだから」
外山「できることはできるんだよね。じゃやっぱりうれしいんじゃないのかな」
Aさん「でも一度出題された問題(過去問)は、結局二度と出題されない問題っていうことですよね。意味ないんじゃないですか、出ないものをやったって」
外山「そうなんだけれどね、でも予想問題(初見の問題)ができなかったら自信をなくすんでしょ(笑)」
Aさん「そうなんです、そうなんです。だから困っているんです、何をやったらよいのかわからなくて・・・」
・・・さて、いかがですか(笑)。皆さんならこのAさんにどのようなアドバイスをあげるでしょう。
Aさんは完全な
「受験病」
です。
「受験勉強は『こうでなければならない』という「決まった型」があり、それに合わない限り「自信」を持ってはならない」
と思いこんでいるのです。
確かに受験勉強には、「範囲」も「上限」も、またあえていえば「下限」もある、勉強です。やることは決まっています。それをどれだけの時間でどれだけ効率・能率よく頭に入れるかという競争が「受験勉強」というものの本質だと言ってよいでしょう(ですから受験勉強は大学入試に限らず、いわゆる資格試験と呼ばれているものの勉強には全部当てはまるものなのです)。
Aさんにいまこの時点で必要なことは、
「心の感度を上げること」
なのです。
「一度やった問題なのだから、できてもうれしくない」
これが「受験病の典型的な症状です。問題が解けてうれしくないはずはありません。Aさんはその「うれしさ」を、無理に感じないように自分を持っていっているだけなのです。
もちろん、1回目に1時間かかった問題を解くのに2回目も同じ時間かけたとしたら、それはうれしくないでしょう。
だから2回目には「負荷」をかけます。前回の三分の二の時間でやってみる、またその次はその半分の時間でやってみる、というふうに、自分に負荷をかけて問題を
「解き込む」
ことが大事なのです。
そうすることによって、前回は気がつかなかった「自分の弱点」が自然に見えてきます。「解けた」ことに満足するのではなく、「より上手に解く」「より早く解く」「より応用が利くように解く」ということを繰り返すことによって、過去問演習は本当に意味のあるものになります。
そのような解き方をいろいろ
「意識してやる」
ことに、感動がないはずがありません。
問題を見て、見慣れているようなタイプのものであれば、あえて時間を最短に切ってやってみる、できれば感動でしょうし、できなくても、そこまでの負荷が自分には重すぎたのだ、時間さえあればできたのだから、という気持ちを持てる、このような「クリエイティブ」な勉強の仕方にたどり着いて初めて、試験勉強の
「醍醐味」
が味わえるのだと思います。
そのためにも、Aさんのように心を「鈍麻」させてはなりません。今まで以上にこころの
「感度を上げる」
ことで、勉強にも新しい側面が見えてくるのです。
よく
「現役生は試験の前日まで、やったことが力になるが、既卒生・浪人生にはそれがない」
といわれるのは、このことなのです。
ここさえ理解していてくれれば、既卒生・現役生の区別無く、試験の前日・当日の朝まで
「実力のつく」
勉強ができるのです。
医進塾の全員が、今までの試験の合否にかかわり無く
「こころの感度を上げる」
ことに真剣になり、この時期を乗り切ってもらいたいものだと私は考えています。
先ほどのAさんには、以上のことを、わかるように説明し、納得してもらいました(笑)。