2012年10月15日月曜日

魔の11月・・・

先週のHRで全員に話したことです。

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今週で10月が半分終わることになります。4月から(あるいはもっと早くから始めた人もいますが)続いている皆さんの受験勉強も,いよいよ終盤に差し掛かりつつあります。

この時期になると,受験生,特に理系受験生に多く見られる一つの傾向があります。

「多浪願望」

がそれです。

文系の場合,選ばなければ必ずどこかの大学には入れるのが今の大学入試の状況です。

「第一志望には入れなかったが,第二志望(あるいは「安全校」)で,入ってから頑張る!」

という選択も十分に考えられるのが文系受験です。一流といわれる大学であっても卒業したからと言って職業が保証されるわけではない現状から考えると,これは

「賢い選択」

であるとも言えるでしょう。

将来を保証してくれるとは限らない名ばかりの「一流大学」に,わざわざ一年かけて入る必要もないからです。

それよりは安全校であってもとにかく入るだけは入って,中の4年間で勉強に打ち込み必要な資格などをたくさんとったほうが,将来のためになることは目に見えています。

ですが,理科系,特に医獣系の場合は,これとは全く逆の話になります。「安全校」に当たるものが存在しないからです。

また医学部18倍,獣医学部13倍といわれる平均競争率から予想されるように,浪人を何年も重ねて入る人も多いのが医学部や獣医学部の特長でもあるからです。

それがこの時期になると受験生の多くに影響を与えてきます。

4月から始めた受験勉強が,結果として表れている人は良いのですが,そうでない人はこの時期になると必ず,

「あと一年あれば・・・」

と考える傾向があるのです。

「ここまでやってきたのに,成績に表れない,これは自分の勉強の仕方にどこかマイナスポイントがあったからだ。それをご破算にしてもう一度最初からやり直すことができれば,この次は絶対に失敗しないだろう。そうできたら良いのに・・・」

端的に言えばこのような考え方に陥りやすいということなのです。

これが

「魔の11月」

の意味です。

こうなると,目の前の勉強に手がつかなくなります。当然成績の伸びも止まります。目に見えない部分でついているはずの実力の伸びもなくなります。

たとえ伸びが実感できなくても,

「あと一年かければよい」

と,心のどこかで思っているわけですから,その原因を必死に探して矯正しようという気持ちにはならなくなります。

休みも多くなりますし,ちょっとしたことで遅刻や早退も増えます。勉強そのものを

「サボりたい」

と思っているわけではないのですが,真剣味のない勉強を続けることで,次第に気持ちの中に

「ダレ」

が生じ,それが一種の

「澱(おり)」

となり,自分を鍛えるという気持ちがマヒするのです。

結果として入試に不合格(当たり前ですが)になっても,それが「悔しさ」に繋がりません。そのままだらだらと二浪(多浪)目に入り,その年の11月にまた同じことを繰り返す・・・,と,こういう流れなのです。

このパタンを繰り返し,結局理系第一志望そのものを諦めて他の傍系学部に進学せざるを得なくなった人を,私はかなりの数見てきました。

この

「負の連鎖」

を断ち切るには,まずそのように感じる傾向が受験生にはあるのだということを,明確に各自が知ることしかありません。

そして自分の心の中にそのような気持ちが生じたら,直ちにそれを捨て去る勇気を持つことです。

それしか方法はありません。

皆さん全員がそうだとは言いません。しっかりと努力を重ねている人も医進12の中にはたくさんいることも知っています。

今日このことを申し上げたのは,自分の心の中にそのような気持ちが生ずる可能性があるということを,私の経験から,事前に注意しておきたかったからです。

来週はまた全国模試が行われ,その次の週にはメディカルテスト第5回が実施されます。

それらの結果が必ずしも

「良い」

ものばかりとは限らないでしょう。受験勉強が本格的になってくればそれは当然のことなのです。

それに負けず,凛として,勇気をもって前をしっかり向いて進んでください。つらいときだからこそ

「勇気」

が必要なのです。自分の弱さに負けず,それをしっかりと見つめて,乗り越える訓練,それが「受験勉強」というものの

「本質」

なのだということを,忘れないでもらいたいと思います。

残りの4ヶ月,その気持ちを持ち続けましょう。

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その場にいた塾生は一人残らず私の話をしっかりと前を向いて聞いてくれていました。心配は心配ですが,少しだけ

「頼もしさ」

も感じました。4月の入学当時に比べればずいぶんと大人になってくれたものだと,改めて思った次第です。