2011年1月8日土曜日

最後のHR-Successful Failure

今朝が最後のHRでした。

塾生には私の体験を踏まえて、過去にとらわれないことの大事さを話しました。
同時にお話ししたのが、アポロ13の出来事にちなんで「Successful Failure」についてでした。
この話しは以前の塾生にもしたことがあります。

その時のブログに若干手を加えたものを再録いたします。

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アポロ13号が月面着陸を目指して地球を飛び立ったのは1970年4月13日のことでした。

それ以前にアポロ11号が月面着陸を成功させていましたし、アメリカ国民の関心はそれほど高いものではありませんでした。

それが(アポロ11号よりも大きな)世界中の注目を浴びるようになったのは、皮肉なことに13号の事故のためでした。

月へと向かう宇宙飛行中、液化酸素タンクが爆発し、乗務員の生命線である酸素が大量に失われたのでした。

液化酸素は乗務員の呼吸のためだけではなく、アポロ13号内の暖房やコンピュータ制御にも使います。推進エネルギーとしても必須のものです。命綱の酸素がなくては月面着陸はおろか地球に戻ることすらおぼつかない状態となります。

その最悪の事態に彼らは立ち至りました。

この最悪の状況を、冷静な判断と果敢な試み、それに独創的なアイデアをもって乗り切ったのが、当時のケネディ宇宙センターの地上管制員、それにアポロ13号の乗組員たちだったのです。

事故後、誰がみても助からないはずの乗務員たちが無事に太平洋に着地し、救助に向かった船に回収されたとき、世界中が彼らの壮挙に心からの拍手を送りました。そしてそれは「successful failure:成功した失敗」としてアメリカ航空宇宙局史上、歴史に残る快挙として長く語り継がれることとなったのでした。

「アメリカの技術力は、アポロ11号を月面着陸させたときよりも、13号を無事に地球に戻せたことで明確に証明された」と言われています。

成功続きの人生はありません。失敗もあります。いや、失敗のほうが多いのが人間の人生というものでもあります。

その失敗にくじけず、それを成功に導くことが、人間にだけ許された能力なのだと思うのです。

そうなったとき、過去の「失敗」は、ただの「一つの出来事」に過ぎず、そこから学ぶための契機、自分が大きく成長するためのステップとしての意味を持つものだったのだということが分かるでしょう。

みなさんの過去の入試での(不合格という)出来事も、そう思えば、そしてそう思うことによってのみ、みなさんをこれから大きく成長させてゆくきっかけになるものなのだと、私たちは確信しています。

今年のsuccessful failureを目指して、今、このときに全力を尽くしましょう。