(前回の続きです。今回で一応一区切りです・笑)
医進塾が「予備校のベスト」と「高校のベスト」のコラボ学校だということを、前回までに書いてきました。
それを実現するまでに数年を要しましたが、いまの学校の状態は一応当初の目的を達成できている状態だと思います。
ここまで来るにはもちろん先生方の協力や、事務局関係者の協力が不可欠でしたが、それにも増して「生徒の協力」が大きかったことを言わねばならないと思います。
思い返してみても、私たちが困ったとき、受講生のみなさんの努力と励ましにどれほど助けられたことか。「医進のやり方がよいと思って私はここに入ったのです。ここでそれを曲げられたらこまります」という、塾生のみなさんの叱咤激励がなければ、果たしてここまでこられたかどうかわからないほどです。
麻布獣医に入ったA野さんという人がいます。
彼女は獣医を目指しながら、現役時にその夢を実現できず、他の大学・学部に入りました。どうしてもそこになじめないと、1学期末で大学を休学し、7月から医進塾で必死に勉強し、翌年無事に第一志望の麻布に入ったのです。現在は日本全国の獣医学部学生で作る連絡協議会で事務局長をしている、大変にチャーミングで有能な方です。
彼女についてひとつ明確に覚えていることがあります。
医進塾では毎年7月の前期終了後、皆で一緒に「暑気払い」をします。全員でしゃぶしゃぶ・焼肉を食べに行くのです。たまには勉強から離れて和気藹々で食べたり飲んだりしよう(飲むほうはソフトドリンクですが・笑)という趣旨で、小山理事長・校長にも同席していただき、土曜日の午後のひと時を過ごします。
たまたまその年、Kくんという医学部志望の塾生がおりました。K君は、別に人柄は悪くないのですが、周りと一緒に何かをするということに違和感を持つ人らしく、その暑気払いパーティの間中、皆の真ん中に座って何も食べず、ヘッドフォンをつけて目を閉じて自分の好きな曲を聞いているという、周りから完全に浮き上がってしまった態度でした。
何度か注意はしましたが、強制的に食べさせるわけにも行きませんから、そのままにしておきました。回りも「彼はこういうタイプだから」と、話しかけたりもせずほうっておき、自分たちゅだけで盛り上がっていました。
その彼の前に、肉や野菜が鍋にいれられるたびに小皿にとって「おいしいよ、たべない?」と、声をかけてくれたのがA野さんだったのです。
周りの人が「ほうっておきなよ、自分の世界に入っているんだから」と言っても、「だって、食べられなかったらかわいそうじゃないの」と言って、毎回かならず前に置きます。
そのうち置く場所がなくなってしまいましたが、いくつかの小皿を大きなお皿にまとめては、前に食べやすいようにおいて置きます。
結局K君はそのパーティの間、肉や野菜には一口も箸をつけず、終了・解散までその態度を崩しませんでした。
K君のその態度は塾にいるときも変わらず、周りとの接点を一切遮断してしまうような態度には、私もずいぶん悩まされたものです。
先ほども書いたように、K君は決して人柄が悪いわけでも、性格がおかしいわけでもなく、要はそのような傾向のある人柄だったというだけなのだと思います。
結局A野さんは合格し、K君は不合格で、そのあと医進から別の学校に移りました。おそらく今年は医学部に入ってくれることでしょう。
考えてみたらA野さんが、今の医進塾の「仲間=チーム」のやり方を一番先に理解し、実践していってくれた人だったようです。
今の医進塾の流れは、こういう人たちに支えられてきました。その意味で、彼女は医進塾の「恩人」の一人ともいえそうですね(笑)。
ここまで書いてきて、なんだか彼女に会いたくなりました。早速連絡して、暇なときに医進に来てもらいましょう(笑)。