2011年9月17日土曜日

HR講話

今日のHR講話の概略です。

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以前のHRで皆さんに「緊張感の持続」ということを申し上げました。緊張感を持つことで、1+1を4にも5にもしてゆけるのだというのが、その時の主旨でした。

でも同時にそれはとても難しいことでもあります。

今皆さんの前でえらそうに話をしているこの私も、飽きっぽい性格が災いしてか、一つのことを緊張感を持って長期間にわたってしてゆくことが大の苦手です。

でもそんな私でも、緊張感を持ってやらねばならないことがあります。そのような時にどうするか。
私がずっと以前、O社の英和辞典の編纂のお手伝いをした時のことが参考になるかもしれません。

辞書の仕事は10年単位です。一日に8時間以上、穴倉(笑)のような「辞書編纂室」に閉じ篭って、細かい字を延々と見続けます。ほんの少しのミスも許されません。辞書を使う方は「辞書には誤りはない」という前提をお持ちの方が多いので、少しのミスも大事(おおごと)になります。

本当に神経を使う仕事なのです。

そのような仕事を長時間・長期間続けるこつとして、私がなんとなく身につけたのは、「one at a time」の原則でした。仕事量全体を見ると気が遠くなるのが辞書の仕事というものです。全体を見渡すのではなく、「まず1語・1語義だけはこなす」ようにしたのです(語義⇒「意味」のことです)。

どんなにやる気のない日も、「とにかく1語・1語義だけはやろう」という方針を立てて、実行しました。これもなかなかに難しいことではありましたが、膨大な量の仕事全体に比べれば「1語だけ」ならできそうだと思えます。

1語終わったらどこかに遊びに行ってしまおうと思ったのですが、実際にやってみると、不思議なことに、「1語」だけで終わった日はほとんどありませんでした。なんとなくその1語が終わるころには「勉強モード」にスイッチが入っていて、結局予定を全部こなし終わったという日のほうが、はるかに多かったのです。

これは私にとって一つの驚きであり発見でした。自分の怠け心をこのようにして自分がコントロールできるのだということが、それ以後どれだけ私に自信を与えてくれたことかわかりません。

今の皆さんにも同じことが言えると思います。

英語の単語を一度に100語も200語も覚えるのは大変なことです。数学も生物・化学も同様です。仕事量全体を見ると、緊張感を持続するなど到底不可能に思えることばかりです。

でもどんなに忙しい、あるいはやる気のでない日であっても「単語1語」すら覚えられないほど忙しい日があるとは思えません。数学の計算問題1題、生物、化学の暗記が1題もできない日というのは、そうそうあることではないと思います。

これはOne at a timeの原則です。

その1題が終わったころに、皆さんの心のスイッチは間違いなく入っていることでしょう。一度入ったらあとはよほどのことがないとオフにできないのが勉強のスイッチの特徴でもあります。

私のささやかな体験が、皆さん全員に当てはまるかどうかはわかりません。でも何かの参考になればよいなと思います。

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明日は全国模試です。合宿以来最初の外部試験です。また新しい気持ちで挑戦してほしいものです。