2012年8月29日水曜日

もうひとつの金メダル


吉崎達彦文「産経新聞 正論」2012年7月27日より

先月「リオ+20」会議で国連環境計画が発表した「包括富レポート2012」は
世界20カ国を対象にそれぞれが保有する富を「物的資産」(機械や建物やインフラなど)
「人的資産」(人々の教育水準や技術)
「天然資産」(土地、森林、天然資源など)
に分けて計算したものだ

この尺度でいくと
日本は米国に次いで世界第2位の資産国となる

「年収」で中国に抜かれたとはいえ
「富」を比較すると日本は中国の2.8倍もある

また、人口1人当たりの富は
日本が堂々の世界1位であった

日本が保有する富の大部分は「人的資産」にカウントされている

教育期間や平均賃金
働ける年数などに基づいて算出したものだ

「わが国の資源は勤勉で教育水準の高い人材だけ」という
長年の自己認識通りの結果である

また、調査された20カ国のうち
1990年から2008年までの間に「天然資源」が減少していないのは日本だけであった

これまた「環境のきれいな先進国」であるという
わが国の密かな自慢を裏づけるデータといえよう

事実、この期間中にわが国の森林面積は増えているのである

また、失業率と消費者物価を足したミゼラブル指数という概念がある

その名の通り「国民の悲惨度」を示す指標であり
米大統領選などの際に
「ミゼラブル指数が高いと現職の再選が難しい」ことが知られている

直近のデータで試算してみると
日本の失業率は4.4%であり
消費者物価上昇率の0.2%と足し合わせた4.6%は
世界の主要国では最も低い水準である

先進国はどこでも二桁が当たり前だし
ユーロ圏には失業率だけで10%以上という国が少なくない

日本の「悲惨度指数」は健闘しているといえるのだ

が、得てしてこういういい話は注目されない

つくづく悲観論が好きな国民なのである

【人の心に灯をともす】http://merumo.ne.jp/00564226.html より

失業率と消費者物価を足した
各国の2011年のミゼラブル指数を調べた

イギリス 12.67

イタリア 12.02

フランス 11.97

ドイツ   8.25

中国   8.10

韓国   7.57

日本   4.6

ヨーロッパ諸国の失業率だけで言うなら
スペインは21.64%
ギリシャは17.31%

ちなみに
失業率1位のマケドニアは31.23%
2位のボスニア・ヘルツェゴビナは27.60%

日本のミゼラブル指数の
4.6%がいかに低いかわかる

また、日本人の意識調査では
日本の緑が減ってしまったと感じている人は7割以上いるが
実際は
わずかだが日本の緑は増えているという

日本は森林率が67%で
これはフインランドやスウェーデンのように
世界の中でもトップクラスの森林国だ

日本人は悲観論と自虐ネタが多い国民だ

自分の国に自信を持ちすぎ
他国をバカにしたり
責めたりするようなことはしてはいけないが
日本人は
もう少し自国に対して誇りを持ってもいい

日本は、人的資産においても
ミゼラブル指数でも
堂々の世界一

オリンピックの金メダルも立派だったが
日本も堂々の金メダルだ