面接練習がかなりの頻度で行われています。
受講者全体に対するC/Pを『C/P-Public』、個別に志望校面接に特化して行うC/Pを『C/P-Private』と、二つに区別して、現在毎日練習中です。
獣医学部を中心にしたAO入試、推薦入試が一段落つくのは11月中旬ですから、それまではほぼ連日の訓練になります。
毎日のように練習を繰り返すうちに、最初はたどたどしかった彼ら・彼女らの「語り」がだんだんと形を成してくるようになります。
「コミュニケーション力」が重視される現代の社会で、人との会話が上手にできることはもはや特技でも何でもなく「必須」の事項のようです。
「会話を上手に」などというと
「単なるおしゃべり上手」
を作っているような印象を持たれるかたもいるかもしれません。
私がC/Pというプログラムを医進に導入したのは、決してただの「おしゃべり上手」を作るためではなく、将来「患者さん」「畜主・飼い主さん」と
「きちんとした意思伝達」
ができる医師、獣医師を育成したいという強い思いからです。
ですから塾生にいつも言っているのは、
「物分りのよい、人当たりのよい、やさしい語りかけだけがコミュニケーションではない」
このことです。
そのようなコミュニケーションパターンが有効なのは、お互いに親密で理解が十分にできている場合のみなのであって、人間社会ではむしろ、
「きわめてまれ」
なことなのです。
世の中には「言っても分からない人」「きちんとした理屈が通じない人」が、必ず一定数存在します。
そのような人が患者さん、飼い主さんとして来たとしたら、一見物分りのよさそうな、やさしい対応がかえって事態を深刻にしてしまうこともないとは言えません。
「やさしく物分りのよいコミュニケーションパターン」しか知らない人は、大変に悩むでしょうし、悪くするとそれが昂じて神経症を発症してしまうようなことにもなりかねません。
誠意を尽くし、必要なだけの時間を十二分にかけても、相手が理解してくれないとしたら、そしてそのことが自分の「専門家」としての職業遂行上、大きな障害になるとしたら(そんなことはないほうがよいに決まっていますが)、断固とした態度で相手を拒否してかまわないのです。
そのようなコミュニケーションパターンの「ギアシフト」ができることが、これからの社会では、自分を守り、自分を信頼してくれる患者さんや飼い主さんを守り、ひいては社会全体の安定と秩序を守るためにも
「絶対必須」
のことなのだと、私は考えています。
それを、ささやかな試みではありますが、C/P(communication program)という形で塾生に提示しています。本当の狙いを彼らが正確に理解してくれることを願っています。