2011年2月14日月曜日

「完璧」を目指す心構え

世の中は広いし、いろいろな職業のあることは知っていました。

でも数日前、この世に「受験評論家」なるものが存在し、しかもしっかり自分の肩書きにそれを使っている方がいると知り、本当に驚きました。

日ごろ医進の生徒には「評論家になるな。実力をつけろ!」と言っているからです。

もちろんその方々の仕事を貶めるつもりは毛頭ありません。この世に職業として成り立つ以上、ちゃんとした存在意義がある仕事なのだろうと思います。

それらの方々が書いたものを読むと、大学の競争率(倍率)の推移であるとか、人気大学・学部の変遷であるとか、これからの人気学部の予想であるとか、あるいは今年の(分かっている限りでの)入試倍率を基にした各大学1次選抜試験の合格者数の予想であるとか、確かに知っていて損になることはないだろうと思われる情報ばかりです。考えようによっては大変に貴重な資料だということにもなるでしょう。

でもそれをすべて「受験生」が知らねばならないかというと、「?」がついてしまいます。

進路指導に当たるわれわれが一応のことを知っておく必要はあるでしょうし、受験生が自分の受ける大学の基礎的な情報を知っておくのは「礼儀」でもあります。

でもこれらの資料・情報を知っていることは、その受験生の「学力」とは何の関係もありません。

私が心配するのは、これらの情報・資料を知っているということが「プロの受験生」の証明だといわんばかりの受験生がいることなのです。

「受験評論家」なる職業の方は、それがご自分の仕事ですから、社会に受け入れられている限り、それでよいと思います。でも受験生自身が受験評論家を気取る必要はまったくありません。

「〇〇大学の△△学部は、今年は例年以上に難しくなるらしいから、受験はひかえておいたほうがいい」

「××大学の面接は、圧迫面接だから、~の準備をしておくべき」

「□□大学の入試作成者が今年は大幅に変わるらしいから、出題傾向も変わる可能性がある」

などの「うわさ」に過ぎない事柄を教室内で吹聴することほど回りに迷惑になることはありません。それらは大体のところ、出処の怪しい「ネット情報」がほとんどで、真偽を確認することすらできないものが大部分だからです。

受験についての知識がまったくないのも困りますが、それをたくさん知っていたからと言って「合格」できるわけではありません。最終的に受験生を勝利に導くのは「確実な実力・学力」なのです。

たとえ競争率が何百倍になり、出題傾向が180度変わったとしても、受験科目すべてに100点を取れば、入れない大学・学部は存在しません!

※このあたりのことは以前「柔道部物語」というブログに書いたことがあります⇒http://wasedazemi-ishinjuku.blogspot.com/2008/07/blog-post_09.html

私は、医進塾の塾生には、常に「完璧を目指せ!8割、9割の得点で満足するな!結果としての点数は『合格最低点+1点』で十分だが、気持ちは常に『完璧・完全!』を目指せ!」と、叱咤激励しています。

これは受験勉強への心構えというだけではなく、将来「命」を対象にする仕事を目指しているものとしても当然持つべき心構えではないでしょうか。「命」には「生と死」しかあり得ず、「死」を自ら求めることは考えられないのです。「生」は100%「生」であり、「60%の生」とか「75%の生」はあり得ません。

気にすべきこと、傾向と対策。
気にすべきでないこと、「うわさと倍率」。

受験生にはこのことを本当の意味で理解してもらいたいものです。