2011年7月1日金曜日

無我夢中・・・機能的自立性ということ(再掲載)


今年2月の部ログ再掲載です。

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臨床心理学をやっていてよかったと思うことが何度もありました。

もともと「臨床心理」は特定分野に限定された心理研究というわけではありません。英文科で言えば「英語科教授法」にあたるもので、一種の応用分野です。

臨床(つまりクライアント・患者さん)に具体的に対応するための、心理学各分野の総合的な応用が臨床心理という分野ということになります。

臨床心理学は「純粋科学」とは言いがたい面もあります。でも人間に対する新しい切り口を教えてくれたという点では深い感謝の気持ちをもっています。

そこで学んだ事柄に、

「機能的自律性」

があります。Functional Autonomyの訳語です。

人間の持つ心的傾向の一つを的確に表したものとして、感心したものです。

スポーツや楽器の練習を思い起こしていただければよいと思います。始めた最初は何事もうまく行かないものです。身体は言うことをきかないし、楽器も思ったとおりの音をだしてはくれません。

無駄な部分に力が入ることで、かえって思ったとおりにならないことが、初心者であれば何度もあるのではないでしょうか。

それが、一定の時期を過ぎると「なぜあの時できなかったのか」が自分で不思議になるくらい、楽々と出来るように(音が出せるように)なっているものなのです。

これが「機能的自律性」という言葉の、一番簡単な意味です。

一つできるようになると、次が楽しみになります。今は出来なくても、今は分からなくても、練習をきちんと続けていれば必ず将来できるようになる、分かるようになる、と確信できるからです。

問題はそこに至るまでの「時間」です。

個体差がありますから一概には言えませんが、大体どんな分野のどんな項目・内容でも「数ヶ月単位」ということらしいですね。

そしてその時間を短くするコツは、

「無我夢中になる」

このことらしいのです。

子供が遊びに夢中になることはよくあることです。でも興味がなくなるとすぐにやめてしまいます。大人の「無我夢中」はそれとは違います。

子供の「無我夢中」とは違う、大人の無我夢中は「意思」の力だからです。自分で「無我夢中」に「なる」のです。そこまで自分を持ってゆくのです。

そのためには、毎日一定時間、定まった場所で自分の努力を積み重ねられるような「外的環境」も必要です。

医進塾にはそのすべてがそろっています。

新しい年の受験生諸君が、そこでどのような勉強の姿勢を見せてくれるのか、楽しみにしているところです。