医進塾の英語基礎プログラムに「SUP(Step-Up Program)があることは今まで何度も書いてきました。
たとえばこんな英文です。
「Two drunken fellows one day fought one another on the street, which caused a great crowd of people to gather to see what it was. A tailor was at work up in a room on the third floor, and he, hearing the noise in the street, looked over the window, but could not well see them. He began to stretch himself, making a long neck, until he fell down out of the window, and struck an old man who was walking on the street.」
「二人の酔っ払いがある日、路上で取っ組み合いのけんかをした。そしてそのために何がおきているのかを見ようとしてとてもたくさんの人たちが集まった。ある洋服の仕立て屋さんが三回の部屋で仕事をしていた。彼は通りの騒ぎを聞いて窓から顔を出してみたが、よく見えなかった。彼は首を伸ばして体を乗り出し始め、ついには窓から下へ落ちて、道を歩いていた老人にぶつかってしまったのだった」
長い文章の一部を切り取ったものですので、状況がよくわからないということはあるかも知れませんが、まあ、一応のことはなんとなくでも理解できると思います。
(A君の訳例)
「ある日二人の酔っ払いが路上でけんかをはじめ、そしてそれは何が起こっているのかを見るために寄せ集まった大きな人ごみを生じた。仕立て屋さんは三階の部屋で身を起こし、通りで騒音が聞こえたために窓のあたりを見回した。それはひどい有様だった。彼はストレッチ運動をし始め、首を伸ばして、ついに窓から飛び降りて、ある老人に殴りかかった。殴られた老人はそのまま通りを歩いていった」
(Bさんの訳例)
「二人の酒に酔った男がある日路上で殴り合っていた。そしてその様子を見ようと多くの人々が集まってきた。仕立て屋さんは三階の部屋で仕事中だった。彼は路上で騒音を聞いたので窓から見たが、それらがよく見えなかった。彼はストレッチ運動を始め、首をぐるりと回した。そしてついに窓の外に下りて、路上を歩いていた年老いた男の人を殴った」
確かにstrikeには「殴りつける」という意味がありますが、ここでは前後関係から明らかに「ぶつかる」です。Stretch は「伸ばす」であってもstretch oneselfはこの場合「首を伸ばして(外を見る)」の意味にしかなりません。
A君は今年の塾生で、英語力はトップクラスです。それでもこういう意味のとり方をしてしまうのですね。Bさんは昨年の塾生で、実は今医進の事務室で教務助手をしているK子さんです(笑)。
どうも医進の生徒にとってこの部分(英語SUP上級プリントNo15)は鬼門のようですね(笑)。
K子さん曰く
「私の訳もひどかったと思いますが、自分だけではないと知って安心しました(笑)。でも先生、これだけひどい訳をやっても合格できたんだから、いいじゃないですか(笑)」
・・・だそうです(大笑)。
「ここを間違えた人は、来年必ず合格する!という「歴史と伝統」ができれば、いいじゃありませんか!」
確かにまぁ、それはそうなのですが、英語の教師としては若干複雑な気持ちでおります・・・(苦笑)。