2013年1月22日火曜日

苦しい時に・・・。

昨日のセンターリサーチの後,臨時HRを開催しました。そこで塾生に話した内容です。

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私は今年で60歳になります。今までの60年間,数え切れないほど多くの先生,友人,そして生徒たちから本当にいろいろなことを教えてもらって来ました。

その中で

「一番役に立ったこと」

をお話しします。

私の場合それは大学の空手部でのことでした。今から40年前の大学の空手部というのは,今の皆さんの想像を超えて「残虐」(笑)なところでした。

最近は「体罰」について様々に取りざたされることも多いように思いますが,あの当時は「空手の稽古時間」=「合法的な体罰」のようなものでしたので,それは本当にしごかれました。

その大変な空手の稽古時間で,一番注意されたこと,一番厳しく言われたことは何かというと,決して空手の「技」についてではないのです。

多少「突き技」や「蹴り技」ができなくても,別に空手を一生の仕事にするわけではありませんから,先輩や師範代も文句はいいません。一生懸命やっていれば下手でもしかたない,というような風潮でした。

一番厳しく指導されたことは,単なる「技」ではなく,苦しい稽古時間中の「態度」でした。

簡単に言うと

「苦しそうな顔をするな!」

ということだったのです。

一回二時間から二時間半の稽古時間は,特に1,2年生のうちは「恐怖」(笑)でした。すさまじい緊張感と集中力の連続でした。肉体的にも精神的にも本当に極限まで追い詰められたような状態でのあの稽古時間を,今の若い方にどう説明したらよいものか,言葉に詰まります。

そのつらい稽古時間中であっても,どんなに苦しい練習内容であっても,

「苦しそうな顔をしちゃいかん!」

というわけです。

「「平気な顔でいろ!」

というわけです。

「苦しいときには苦しいそうな顔になるのがあたりまえではないか」

というのは

「ダメだ!」

というのです。

当時は大変理不尽な事柄に見えたこのことが,

「腑に落ちた」

のは私が実際の教職の現場に立ったときでした。指導する側が苦しそうな顔,つらそうな表情を浮かべてしまうと,それが何倍にもなって自分が指導している生徒に跳ね返って行ってしまうということを,実感として知ってからのことです。

君たちは将来,医師,獣医師になります。人間や動物の生命に関わる仕事につきます。おそらく職務上大変につらい場に置かれることもあるでしょう。生命に関わる仕事は,その対象が人間であれ動物であれ,極限状態に医師,獣医師を置くことがあるのです。

その時に皆さんに求められることの第一は,まさにこのこと,つまり

「自分が苦しそうな顔をしない,つらそうな顔をしない」

ことなのです。

生命の極限状態に向き合う「フロントライン」にいる皆さんが,苦しそうな顔,つらそうな顔を回りにいる人に見せたら,それだけで皆さんは

「信用を失う」

のです。

今センターテストのリサーチが行われています。自分の将来のことを併せ考えてつらい思いでいる人もいることでしょう。

今,この時だからこそ,

「辛そうな顔をしてはならない」
「苦しそうな顔をしてはならない」

のです。

どうか,内心がどんなに辛くても苦しくても,

「平気な顔」

でいてください。

「悲しいから泣く」

のではなく

「泣くから悲しくなる」

のです。

今までの自分の努力を信じ,堂々と入試に向き合いましょう。

決して

「苦しそうな顔をしない」

こと,このことを忘れずに,明日からの試験に臨んでください。