2020年3月11日水曜日

(前回からの続き)

せっかく多くの先生方と一緒に始まった「CLeP教育研究会」でしたが、最初の一年は全くうまくいきませんでした。

理由はとても単純で、皆が自分の理想を譲らなかったからです。現実と簡単に妥協しないからこその「理想」ですから、それは理の当然のことでした。ですが意見の違いが議論を生み、議論が論争になり、結果として何も建設的なものに帰着しないまま終わる…そういう会議が何度も続きました。

人間だれでもそうですが、議論ばかりしていても面白くないのですね(^_^;)。

なぜそうなってしまうか、についてを話した時、どなたかの先生が言った一言がそれ以後のこの研究会の性格を決めることになりました。

「結局さぁ、『生徒』なんだよね、大事なのはさぁ」

この、全く当たり前のことに、それまで私を含めて誰も気がつかなかったのでした。その時点で、ほんの少しですが私たちの理念と方針に共感してくれる生徒と保護者がいました。だったら大事なことは、徹底的にその生徒を中心に考えることだ、ということで会全体の意見がまとまったのでした。

今「当たり前のこと」と書きました。

でも当初私たちはそのことに気がつかなかったのです。みな自分は「生徒のための教育をする、したい」ということでは意見が一致していたにせよ、それは具体的にどのような教育行為となって発現するのかにまで、考えが至らなかったわけです。思えば私たちも「若かった」のですね(笑)。

どんなに立派なことを言っていても、目の前の生徒がそれによって成長する機会を得るのでなければ意味はない、そのことを基準に考えよう。私たちがそう思えた時、始めてCLeP教育研究会の、具体的な姿が見えてきたのでした。