私がCLeP Initiative (クレップ教育研究会)を設立したのは2013年でした。当時はまだ医進塾の塾長(兼早稲田ゼミナール英語科主任、教務課長)でしたので、直接授業をしたり、指導をしたりということはありませんでした。
では何が目的だったかというと、私がそれまでやってきた教育実践(中学校、高校、予備校)上でのいろいろな経験を、なにかの形で残したいと思ったということ、それにもし何かの役にたつのであれば若い先生方の指針になるものを作って行きたいということでした。
何人かの先生方に声をかけ、まずはお茶でも飲みながら「今の教育に欠けているもの、私たちが何かの形で貢献できるものは何か」を、ざっくばらんに話し合うというところから全てが始まったのでした。
そのような雑談の場を月一で何回か持ち、色々な意見を重ね合わせていくうちに「予備校のBestと学校のBestの組み合わせ」という、私が責任者になった時からの「医進塾」運営の基本方針であったことを、大変ありがたいことに多くの先生方が認めてくれたのでした。
「会議は毎回90分ジャストで終了。自分の考えを持たないものは来るべからず。そのかわり来たら大いにものを言うべし」という私のやり方が良かったのか悪かったのかは知りませんが、最終的に10人の先生方(英語、国語、数学、理科、社会)が「設立準備委員」として残りました。最年少は26歳の英語の講師、最年長が私でした。平均年齢は35歳でした。
彼らとその時点で決めたことは次の数点です。
1 授業で妥協は絶対にしない。常に工夫と新しいアイデアがあり、内容的にも最先端の授業を目指す。
2 工夫は奇矯なものであってはならない。教科の本質をついた新しさを目指す。
3 保護者を蚊帳の外には置かない。「自分たちは最先端の授業をしているのだから親は黙って子供を預ければよい」という考え方は取らない。保護者は「仲間」である。
4 教科間の交流と連携を大切にする。自分の科目だけではなく他の教科、科目の授業も積極的に見学し、そこからなにかを得るよう努力する。
5 研究会の最終目的は「新しい学校を作ること」。そのための協力を惜しまない。また自分たちが生きているこの時代を無視しない。「時代がかった古色蒼然たる」授業はしない。
…と、まぁこんな具合でした。
若い先生方が集まって力を合わせて、新しい教育に挑戦し、最終的には自分たちの思うように教えることのできる学校を作る…。実にすばらしい理想です。
ですが世の中はそんなに甘いものではなかったのでした…(続く)