2011年8月8日月曜日

苦手意識と得意意識

1週間ほど前のことです。

塾生の一人が私のところにきました。

「あの・・・、数学のクラスを下に下げてもらいたいのですが・・・」

「どうしたの、ついてゆけないくらい難しいの?」

(実はまだ授業そのものが始まっていなかったので、ついてゆけるかどうかはわからなかったのですが。)

「内容が僕の不得意分野で、問題を見ても何がなんだかわからないので、絶対についてゆけないと思って・・・」

「それは典型的な『逃げ』だと思う。不十分にしかやっていない分野に苦手意識を持つのは当たり前だが、そのたびに逃げ出していては本当の学力なんてつくはずがない。数学科主任に相談してみるから、クラス異動の件はとりあえず聞かなかったことにするよ」

話し合いの結果、主任のK山先生が特別に時間をとってその分野の指導をしてくれ、同時にそれに限らず数学全般の勉強の仕方を教えてくれることになったのです。

その講座が終わった後彼が私の部屋の前にいたので、

「どうだった?」

と聞くと、

「よくわかるようになりました。やってみるとあんなに簡単だったとは思いませんでした。K山先生のおかげです。逃げなくてよかったです(笑)」

うれしそうに返事をしてくれる彼の笑顔を見て、私も心からうれしくなりました。

もちろんK山先生の上手な教え方があってのことだと思いますが、同時に、彼が自分の苦手分野から逃げださず、真正面からぶつかって乗り越えてくれたことに本当に感動を覚えたからです。

教え方がきちんとしていて、本人が必要な努力を惜しまない限り、大学入試の問題でできない・わからないものなど存在しない!私は本気でそう思っています。

あそこで逃げてしまったら、この分野は彼にとって一生「苦手な分野」としてとどまり続けたことでしょう。自分が苦手意識を持つ分野、範囲から逃げ出さず、ひとつひとつ勇気をもってぶつかり、乗り越えて行くこと、それこそが受験勉強というものだと思うのです。

彼はきっと将来自分の子供たちに、苦痛や苦労から逃げず正面から挑戦して乗り越えて行くことを、自分の体験として、教えて行くことでしょう。

そのように育てられた子供たちが、またその子供たちに同じことを教えてゆきます。

世の中というのは、このようにしてしか良くはなってゆかないものだと、私は信じています。